--- 背景 --- 2年にわたる不足から記録的な過剰へ。日本は商業用の米21万トンの緊急買い戻しに踏み切り、政策を転換した。価格の崩壊を防ぎ、枯渇した戦略備蓄を補う狙いがある。
--- 事実 --- 民間在庫は2024年の歴史的低水準150万トンから、2026年半ばには243万トンへと回復した。政府の予測では、2027年に向けて商業用の余剰はさらに拡大する。
5キロの米袋の価格が、この激動を物語る。2024年初めの約2000円(約13ドル)から、2025年には前例のない4300円(約27ドル)まで高騰。その後は約3300円(約21ドル)まで下落し、農家の平均生産コストである2800円(約18ドル)に向かうとの予測も出ている。
不足は2023年に始まった。猛暑と干ばつが、穀粒の充実期にあたる重要な時期の作物を傷め、最高級の食用米の収量を大きく減らした。2024年半ばには、九州沖でマグニチュード7.1の地震が発生した後に気象庁が巨大地震注意情報を発出し、大都市圏でパニック買いと買いだめが広がった。
外国人観光客の急増も外食需要を押し上げ、小売流通の在庫を一段と圧迫した。政府の備蓄放出の遅れに対する国民の怒りは、農林水産省への政治的打撃となった。
この不足は閣僚の辞任を招き、1995年以来初めてとなる国家備蓄米の緊急放出につながった。
2025年6月、ドナルド・トランプ米大統領は日本の農産物輸入規制を公然と批判した。日本は世界貿易機関の取り決めに基づき、年間数十万トン規模の米を無関税で輸入しており、そのうち歴史的に約半分は米国産だった。2025年半ばの二国間貿易交渉の後、日本は米国産米の購入を75%増やすことで合意した。
--- 当事者の立場 --- 政府は買い戻しを、価格の下支えと枯渇した備蓄の再建という一石二鳥の策と位置づけている。一方、生産者は循環の裏側に直面している。米袋の価格が生産コストに向かって下がれば、世代交代が急務の中で収入は圧迫される。
構造の弱さも露呈した。日本では約50万の農家が、340万エーカーの棚田や山間の小規模農地で稲作を営む。農家の平均年齢は67.7歳で、30歳未満の農業従事者はわずか1.2%にとどまる。高齢農家が引退すれば、山間の水田は放棄されることが多い。
米国のシンクタンクである戦略国際問題研究所の客員研究員リョウスケ・イノウエは、最近の価格変動の一因を流通の不透明さにあると指摘する。農協や卸業者、仲介業者が入り組んだ流通網では、規制当局が在庫の動きをリアルタイムで把握できず、市場の混乱への対応が遅れるという。
政策アナリストの間では、米国の価格損失補償制度のような反循環型の直接支払いを求める声がある。市場価格が2800円(5キロ)などの目標を下回ったときに農家へ補償金を支払う仕組みだ。日本は2011年に似た直接支払い制度を導入したが、政権交代後に解体された。
--- 未解明の点 --- 余剰が2027年に向けて拡大するとの政府予測が正しければ、買い戻しだけで価格下落を止められるのかは分かっていない。反循環型の直接支払いが導入されるのか、米国産米の購入75%増が国内需給にどう影響するのかも未知数だ。
西部日本では最近の猛暑が再び収量を押し下げている。高温に強い品種は開発されているが、作付面積のごく一部でしか使われていない。
--- 未回答の問い --- 5キロの米袋が2800円まで下がれば、どれだけの農家が稲作をやめるのか?政府は備蓄を使い切らずに米価を安定させられるのか?平均年齢67.7歳の担い手を若い世代が引き継がなければ、山間の棚田の未来はどうなるのか?2011年に解体された反循環型の支払いは、今度こそ実現するのか?
--- EPM分析 --- この振り子が示す教訓は明確だ。日本は、空の食卓への恐怖から満杯の倉庫への恐怖へと移ったが、両極端を生む仕組みは変えていない。流通の不透明さ、高齢化した小規模経営、気候への依存。この脆弱な三角形を壊した政権はまだない。
📌 EPMの結論: EPMの見解では、21万トンの買い戻しは必要な応急処置だが、十分ではない。問題の核心は構造にある。50万の棚田経営、平均67.7歳の農家、そして規制当局がリアルタイムで見えない流通網。政府の予測どおり2027年に向けて余剰が拡大すれば、価格への圧力は緩まず、2011年に存在した反循環型の支払いが再び議論の中心に戻るだろう。日本に必要なのは、満杯の備蓄よりも世代交代と透明性である。
✍️ Erick Prometeo | erickprometeomedia.com
